1.夜風
作詞:さいとう大三
作曲:叶弦大
男はちまちま 生きたら駄目と
見知らぬ町へと 渡り鳥
明日はどこ行く 旅の空
海鳥が 海鳥が
呼んでいる
夢を追いかけ 陽が落ちて
夜風が沁みる
お前の代わりの お守り袋
時々握って 渡り鳥
酔えば今夜も 横顔が
しみじみと しみじみと
浮かぶのさ
ばかな男と 背中から
夜風が叱る
地図などいらない 男の旅さ
黙ってひとりの 渡り鳥
夢を土産に 探すまで
帰らない 帰らない
帰れない
時代おくれの 阿呆鳥
夜風が笑う
2.兄弟船
作詞:星野哲郎
作曲:船村徹
波の谷間に 命の花が
ふたつ並んで 咲いている
兄弟船は 親父のかたみ
型は古いが しけにはつよい
おれと兄貴のヨ 夢の揺り篭さ
陸(おか)に上って 酒のむときは
いつもはりあう 恋仇
けれども沖の 漁場に着けば
やけに気の合う 兄弟鴎
力合わせてヨ 網を捲きあげる
たったひとりの おふくろさんに
楽な暮らしを させたくて
兄弟船は 真冬の海へ
雪の簾(すだれ)を くぐって進む
熱いこの血はヨ おやじゆずりだぜ
3.演歌船
作詞:星野哲郎
作曲:船村徹
波に頭を ぶんなぐられ
プロに なるのさ 北洋の
時化を 恐れぬ 荒くれたちも
赤い夕陽に おふくろの
影を重ねる ヨーホホホ 演歌船
親父ゆずりの 塩から声で
歌う恋唄 こがれ唄
ここはさいはて スケソウ船の
銹びたデッキに 咲く花は
浪と鱗と ヨーホホホ 雪の花
涙だけしか あげられないと
別れ惜しんだ あの女は
無事にいるやら 根室のあたり
青く尾をひく あの星に
思い届けと ヨーホホホ 演歌船
4.男の港
作詞:穂積淳・結城忍
作曲:中村典正
板子一枚 生命をはった
男度胸の 海が呼ぶ
競う船出を 送ってくれる
ありがとう 浜千鳥の群よ
豊後(ぶんご) 鶴御崎(つるみざき) 男の港
踊る銀鱗 しぶきの華に
親父ゆずりの 腕がなる
照らせ男の この晴れ舞台
ありがとう 水の子の灯台(あかり)
豊後 鶴御崎 男の港
高くかかげた 大漁旗を
待っているだろう 紅椿
松浦港(まつうらみなと)は もうすぐ近い
ありがとう 黒潮の幸よ
豊後 鶴御崎 男の港
5.北の鴎唄
作詞:里村龍一
作曲:杉本真一
山背が吠えれば こころも時化る
今夜はお前と 朝まで酒づかり
荒くれ海にはョー船もなく
カモメが凍えてョー鳴くばかり
やん衆の港は
浜の女が情けの炎を燃やす
ヤーレンソーラン 飲み明かせ
明日は別れる お前でも
今夜はどっぷり 惚れてやる
出たとこ勝負の 男の海は
命も宝も オンボロ船まかせ
情けをかければョー辛くなる
未練は波間にョー捨てて行け
やん衆のこころは
陸のカッパとひと味違うだろ
ヤーレンソーラン 風よ吹け
荒らくれ権蔵の深なさけ
今夜はびっしり みせてやる
ヤーレンソーラン 海よ哭け
最初で最後の 夜だから
今夜はぎっちり 抱いてやる
6.裏町
作詞:山田孝雄
作曲:叶弦大
誰にでもあるだろう 小さな過ちは
儘(まま)よお前は 背中を向けた
訳も知らない 別れは辛い
夜風が後追う 落葉が踊る
ここは駅裏 心やすらぐ 裏町通り
想い出になるのかな 古びた縄のれん
お猪口(ちょこ)並べりゃ 寂しさつのる
きっと今頃 さすらう旅路
汽笛を鳴らして 夜汽車は走る
未練隠して 胸に点もした 裏町灯り
道連れに星もない 凍(しばれ)るこんな夜(よ)は
はぐれ鳥さえ ぬくもり恋し
路地の片隅 密かに咲いた
すずなり横丁の 空似のあの娘(こ)
ここは男の 帰る故郷(ふるさと) 裏町酒場
7.カサブランカ・グッバイ
作詞:内館牧子
作曲:三木たかし
私はいつも あなたに言った
別れ話は みっともないわ
ただ黙って カサブランカ
置いて行ってね ドアの前
カサブランカ・グッバイ
別れたい気持ち 白い花に
カサブランカ・グッバイ
しゃべらないのが 大人の別れ
俺はタバコに また火をつけて
お前の部屋を 見上げて揺れる
腕に抱いた カサブランカ
置くに置けない 男のずるさ
カサブランカ・グッバイ
お前に隠れて 他にも恋
カサブランカ・グッバイ
どんな女も 別れちゃ損か
俺は夜空に 花を投げ捨て
これでいいさと 小さく笑う
家に着くと カサブランカ
お前の花が ドアの前
カサブランカ・グッバイ
別れてあげると 小さなメモ
カサブランカ・グッバイ
白いさよなら あふれて揺れて
8.サロベツ原野
作詞:仁井谷俊也
作曲:船村徹
はるばると訪ねきた 北の曠野
緑なす草原と 碧き空よ
あゝ サロベツ サロベツ原野
シベリアおろしを 躰で受けて
生きる生命を 生命を確かめる
誰でもが傷だらけ 胸の内は
語らずに嘆かずに 血潮燃やす
あゝ サロベツ サロベツ原野
弱気になるなと 大地の声が
今も魂に 魂に木霊する
幾千の歳月を経て 咲きし草花よ
我もまたひとすじに 夢を咲かす
あゝ サロベツ サロベツ原野
地平を染めてる 夕陽の彼方
明日も男の 男の人生をゆく
9.海の祈り
作詞:星野哲郎
作曲:船村徹
果てしなき 海の彼方に
水色の やすらぎを
求めた友は 帰らない
陸(おか)には住めない 依怙地な男が
木の葉の船に つかまりながら
蛙のように 歌っていると
無線をくれた ゆかいなあいつ
あいつを呑んだ 嵐が憎い
安らかに 眠れよ友と
花を投げ 伏しおがむ
おれにも明日は 知れないが
守っておくれよ おまえの力で
オイルのしみた 形見のギター
おふくろさんに 届けるまでは
いい奴でした 男でしたと
おふくろさんに 伝えるまでは
あなたには 海があるから
いいわねと 泣いていた
港の女(ひと)を おもいだす
逃げだすつもりは さらさらないけど
海には広い こころがあって
昨日の俺が 小さくみえる
荒れるな海よ おまえに惚れた
男の夢を 奪うな海よ
10.師匠
作詞:星野哲郎
作曲:船村徹
子でも孫でも ない他人の子を
火の粉背おって 育ててくれた
仰げば尊し 師匠の拳
あまりの痛さに 怨んだ日々が
いまじゃ恋しく 懐かしい
ほめて袈裟がけ 世間の無情
広い背中で さらりと受けて
にっこり着流す 師匠の笑顔
黙って学べと 言うことなのか
俺も持ちたい あの度量
女なんかに 迷うなばかと
叱る自分が 女に迷う
仰げば尊し 師匠の涙
ちょっぴりのぞいた 赤坂あたり
栃木訛りの 風が吹く
11.風待ち食堂
作詞:新本創子
作曲:船村徹
人の世の坂 ころげ落ち
裏目裏目と 生きてきた
ふらり風待ち 港の食堂
熱い番茶を すすりながら
俺はお前を 目にとめた
いい女だと 焼きついた
ずっとここかと 聞いてみた
ずっと一人と 目を伏せた
北の風待ち 港の食堂
海が荒れたら 淋しだろね
そっとかばって やりたくて
ジャンバーを脱ぎ 抱きしめた
所帯持つよな 柄じゃない
男のら犬 そんな俺
ふらり風待ち 港の食堂
ゴムをほどいた 長い髪の
熱い思い出 もらってく
やけに厳しい 恋だった
12.中仙道
作詞:里村龍一
作曲:叶弦大
旅の空日暮れて 街道に
湯煙りが流れる 宿場町
遠く離れりゃ おまえの顔が
じんと旅籠(はたご)の 灯(ひ)が点(とも)る
鳥居峠の 御岳(おんたけ)さんよ
恋しじゃないか
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
落ち葉くるくる風に飛ぶ ああ中仙道
ちぎれ雲流れて 何処へゆく
木曽駒はもうすぐ 冬仕度
杉の木立の街道 越えりゃ
今日は妻籠(つまご)の 宿(しゃく)あたり
落ち葉しぐれか おまえの声か
背中(せな)で哭いた
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
旅の寒さが身に沁みる ああ中仙道
明日は帰ろか おまえの町へ
さすらい虫よ
おやじもう一杯 冷やでついでくれ
江戸はこれより八十里 ああ中仙道
13.ひとり鳥
作詞:さいとう大三
作曲:叶弦大
涙も見せずに 送ってくれた
お前の心が いじらしい
夜の港に 風吹けば
想い出が 想い出が流れてく
お前思えば 泣けてくる
今夜も泣ける
どうにもならない 夢など追って
いつまで続ける 旅暮し
俺の心を 覗くのか
夕焼けが 夕焼けが誘うのさ
二人暮した あの町が
浮かんで消える
明日は明日の 風吹くままに
どこかへ飛んでく ひとり鳥
こんな男は 忘れろよ
幸せが 幸せが逃げてゆく
今もひとりで 暮してる
お前に詫びる
14.北のえぞ番屋
15.ごめんよ、おやじ
16.男の隠れ家
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